好きなのに…




深夜。
辺りは真っ暗になり、起きている人間など誰もいない時間帯。
その中を走る1つの影。
その影は、町並みを抜けはずれの森の中へ消えていった。
「はぁ・・・はぁ・・・ここまで来れば大丈夫かな?」
「また、盗賊いじめですか?リナさん」
周りには誰もいない。しかし、声だけははっきりと森に響いていた。
「な〜に言っているのよ。いるんなら早く出てきなさいよ」
リナの声に、一人の男がすぅっと姿を現した。
「どうせ、あたしが宿から出てきたところから見ていたんじゃないの?」
「ええ。もちろんですよリナさん。僕は、いつもリナさんの事だけを見てますよ」
笑顔を絶やさず話すゼロスに、リナは小さくため息をついた。
「まあいいわ。あたしだってゼロスと二人っきりになれるのを楽しみにしているんだし
・・・でも、こんな真夜中じゃないとね・・・逢えないしね」
「でも、普段は皆さんが寝静まった後、よく行動されるリナさんにとっては、かえって
好都合じゃありませんか?」
「そうね。あたしがいないからといって大騒ぎするような連中じゃないしね」
「さて、どうします?リナさん」
「どうするって・・・あたしに言わせる気?」
「そうですね。言葉はいらないですね」

二人の間に、沈黙が流れる。
辺りもシーンと、静まり返っている。
わずかに吹いた風が、森の木々を静かに揺らしていった。
見つめあう二人。
そして、リナは静かにゼロスへと近づき、ゼロスの胸に顔をうずめた。
ゼロスは、しっかりとリナを抱きしめている。
しばらく、このままの体制でいたが、ゼロスはリナの顎に指をかけリナの顔を見た。
リナが、ゼロスに見せた表情は、旅仲間の誰にも見せたことのない・・・ゼロスだけに
見せる「女」の顔だった。
互いの顔が近づき、そして唇が触れ合う。
はじめ静かだった口付けは、時間がたつにつれ激しいものへと変わっていった。
そして・・・
一つになった二人の影は、縦から横へと静かに・・・ゆっくりと動いていった。

人間で魔道師のリナ。
獣王、ゼラス=メタリオムに使える、獣神官、ゼロス。
ゼラスの命を受け、リナを『異界黙示録』の元へと導くためにリナの前に姿を
表してから、どれくらい経ったのであろうか。
当初の目的を果たした後も、ゼロスはリナと旅の仲間たちとともに、旅を続けていた。
その間、夜中に宿を抜け出し、いつものように盗賊退治に出かけようとするリナを
呼び止めては、話し掛けてくるゼロス。
リナは、最初はせっかくの資金集めの邪魔をしてしまっている、ゼロスをうざったく
思っていたが、時間が経つにつれ、いやな顔をすることもなく、ゼロスの話に付き合うように
なっていた。
そして、そんな二人がお互いを愛し合うようになるまでにはそんなに時間がかかることは
なかった。
二人にとっては運命なのかも知れない。しかし、人間であるリナ。そして、魔族であるゼロス。
二人の思いがどうであれ、周りには決して認められるものではなかった。
人間の世界でも。
魔族の世界でも。
そして、今日ゼロスは、リナに対しあることをしなければならなかった。
彼の意思とは全く別なことを・・・。

小さな寝息を立て、眠っているリナの顔をじっと見つめるゼロス。
しかし、その表情には、何処か寂しげなものがあった、
今日ゼロスは、ゼロスの呼び出しを受け、ある命を受けた。今のゼロスには到底受け入れることの
できないゼラスからの命令だった。しかし、ゼラスの手で作られたものにとってその命令は
ゼロスの気持ちなど関係のない「絶対」的なものだった。
この後に起こることを、何も知らないで眠りつづけるリナを見て、ゼロスの目からは涙が流れ出た。
それが、頬を伝わりリナの顔に落ちる。
「ん・・・・ん・・・・あれ?寝ちゃったかな?あたし・・・って、ゼ・・・ゼロス?どうしたの?」
おそらくリナは、ゼロスの涙を初めて見たのだろう。驚きの表情を浮かべながらゼロスに言った。
「いえ、何でもありませんよ、リナさん。ちょっと目にゴミが入っただけですから」
「ふーん。そっかぁ・・・」
リナは、それ以上は何も言わず、起き上がってゼロスに寄りかかりながら座りなおした。
「もうすぐ夜が明けるね。また、元の生活に戻らないと」
「そうですね。あけますね」
「・・・どうしたの?さっきから元気ないみたいだけど・・・」
ゼロスの様子が気になっているリナは、ゼロスの顔をのぞき込むように聞いてきた。
「実は・・・リナさん・・・」
「何?」
少し間をおき、リナを見るゼロス。リナも、真剣なまなざしでゼロスを見た。
「実は、今日リナさんに会う前に獣王様の所に呼ばれまして、あることを告げられました」
「あること?」
「獣王様が、ある人物に非常に、恐怖を覚えまして」
「恐怖?」
「ええ。その人の力が、日増しに大きくなっていくことに、獣王様はかなり気になされているようで
そこで、私に始末しろと・・・」
「ふ〜ん。まあ、ゼロス達の目的って、全てを滅ぼし、自分たちも滅んで、混沌の世界に・・・
だからねぇ・・・」
「まあ、僕としましては、それは早急じゃないかと・・・しばらく様子を見るのはどうかと
伺ったのですが・・・」
「あっさり却下・・・でしょ?」
「ええ・・・まぁ・・・」
ゼロスは、苦笑いをした・・・はずだった。しかし、笑うとことは出来なかった。
これから自分がすることを、考えると・・・。
「やっぱり、哀しき中間管理職の性なのかなあ。ところで、それって一体だれ?」
リナが、ゼロスの顔をのぞき込むように聞いてきた。
「それは・・・」
リナの顔をまともに見られずうつむくゼロス。
「やっぱ、秘密?」
「それは・・・リナさん・・・あなたです」
「えっ!?・・・あ・・・あた・・・ぐっ!!!」
リナが、驚きの顔を見せた直後、その表情は苦痛の表情に変わっていった。
ゼロスの、右腕が凶器へと変わり、リナの体を突き刺していった。
「リナさん・・・獣王様があなたの力が大きくなることを恐れて、リナさんを始末するよう
命を受けました。このままだと、僕たち魔族にとってかなり、不利益だということです。
許してください・・・」
ゼロスは、涙を流しながらリナに言い、リナの体を突き刺していた右腕を静かに引き抜いた。
「そ・・・そうだよ・・・ね。・・・あたしったら・・・すっかり・・・わす・・・れて
ハハハハ・・・バカ・・・みたい・・・」
ゼロスは、力無く話すリナを、ただ見ていた。いや、見ることしかできなかった。助けて
やりたい気持ちはあっても・・・
「あ・・・あたし・・・後悔は・・・してないよ・・・ゼ・・・ゼロスに
あっ・・・・あった・・・こ・・・と・・・」
リナは、ゼロスにそう言って、静かに倒れていった。

流れ出る涙を、ゼロスはぬぐおうともしなかった。そして、もう動くことのないリナを
見ながら、静かにリナに話しかけた。
「僕が・・・人間として・・・生まれていれば・・・リナさんを・・・幸せに・・・
幸せにすることが・・・出来たんですよ・・・ね・・・・・・」

[END]




あとがき by闇斗(あんと)
 今年の2作目となりました。今日和、闇斗です(ぺこり)
2作目と言ってましても、前作は去年の12月にはほぼ出来ていていたので、まともに今年になって書いたゼロリナって、これが初めてなんですよね。
 まあ、しかしやっちまったかな?前作のあとがきで「ダーク作品」なんて、書きましたが本当にダークというか、かなり哀しい作品を書いてしまいましたね。
 元々、ダーク系が得意なのは否定しませんが、さすがに今回は書いていて、凹んだりもして・・・
よくもまあ、こんなに暗い作品がかけたなと・・・信者の皆様は、どう思われているんでしょうか・・・自分で自分につっこみを入れるようなことになりますが、前半は一歩間違えば、18禁あだるち〜な展開。後半はヘタすれば「ゼロリナ」そのものを否定してしまうような、文章もあったりと、これでもか!というくらい暗く・・・暗く
いってしまった感じしますね。
ただ、これからもいろんなゼロリナを書いてていく中で「ダーク系」も、はずすことなく書いていくと思いますが、今回のような展開は・・・もう書かないでしょうね(苦笑)
んなことで、次回は宣言します!!
「極甘」を、書こうかと思ってます。
考えてみたら、ここの中の闇斗作品って、甘甘ってないんですよね・・・ですので、次回は皆様がとろけて
更に、ゼロリナ信仰に励んでいただけるような(笑)作品を、作りたいと思います。
では、この作品におつきあい下さいまして、ありがとうございました。また次回作に・・・まあ、別サイトの盛り上がりに負けないように(笑)(これしかないですから、僕は・・・(^^;)
頑張っていきたいと思います。
でわ、シアちゃん・・・って・・・(滝汗)
・・・はい、ハンカチ・・・






闇斗さぁぁぁん(号泣)
あわわっっぜ、ゼロスさんが……リナちゃんがっっっっっ!!!!
どぉぉぉぉぉなさったんですかぁ闇斗さんっっっ!!
久々に見たゼロリナ(シア、わけあって休業していたため)が珍しいダァク!!!
これはびっくりでございますのよ、はい。
初めは普通に「あはは〜〜やっぱりこの二人はらぶらぶなのね〜〜」とかって見ていたらこ、こーゆー展開になるんですかっっ
………って、シアの一番新しい作品があれなので人の事を言えない……(−−;)
でも次回、極甘だそうで♪楽しみですねぇ、こりはっ(嬉)
もう砂吐くほど甘甘なのをお願いしまっすっっ
闇斗さん、どうもありがとうございましたっっっ!!

シア